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近年、建築における快適性というスペックを満たすには重要な部分です
ね。 手摺や、壁とかのように直接目に見えるとか触れるような部分ではなくても必要不可欠の部分です。 私が、最初の事務所に入った1980年初頭の頃は
設備図は枚数的には少なかったです。その頃は機械設備図の
方が多くて、電気設備図は照明+α程度でした。 それ
が、今では電気設備が随分増えてきました
ね。ちなみに、設備と名前 のつく言葉を並べると..以下のようにでてきます。 給水設備 衛生設備 排水設備 厨房設備 熱源設備・エネルギー設備 電気設備 通信設備 空気調査設備 搬送設備 消防用設備・防災設備 警備・防犯・監視設備 個々の建築では、さらに特殊な設備が付く事もあるでしょう。 今では車を制御するのに電子制御はかかせないと言われますが、おそらくそれと同じように、建 築のかなりの部分が電子制御化されていくので しょうね。 実際、スマートハウスなんてのが出回ってる くらいですから。 スマホ買ったら家はスマートハウスへ..なんてなるのでしょうか。 また、給排水設備、空調設備なんかだと配管・ダクト類がどんなルートを通っ て、快適な空気を供給するにはその部屋でどれだけ吹出しができればいいのか、吸気が出来ればいいのか..検討始めると、構造部材と干渉する事もしばしばで す。最初の頃は配管やダクトのルートが図面を見てもなかなか理解できなくて、PS・EPSの大きさはきちんと納まっているのか、DSはこの大きさで大丈夫なのか、 配管は梁下を通っているのか、貫通しているのか、ダクトとダクトは干渉してないか、配管も同様の問題がでてないか、電気のケーブルはどこを通っているか、 エアコンの冷媒管やドレンは通っているのか....構造部材と干渉してしまう時にはよ くスリーブ対応で梁に貫通用の孔をあけて周囲を補強しま す。 一般的 には鉄筋コンクリート造の梁なら梁の高さ寸法の1/3まで開けられます。 その寸法がやや不足するような場合には、そのために梁の高さ寸法を大きくする事 もあります。 氏家事務所の時にはオフィスビルのPSの大きさがほんとに効率的に使われているのか、何度も何度もPS内の詳細スケッチを書いて、設備設計 者とFAXで何十回もやりとりした記憶があります。PSの詳細図をあれだけかいたのは、おそらくその仕事だけだったと思います。 配管・ダクト類は多くの場合は天井フトコロを通っていま す。階の高さ、天井の高さ、床の仕上がりまでの寸法等で天井フトコロの寸法が決まります。 通常は 天井取付けのエアコンがスペースをとるので、これがきちんと取付けられて、ドレンの勾配もきちんととれているかどうか検討します。 この時に上階からの排 水管ルートと干渉するような時もあります。いずれかを平面的に移動するとか、レベルをかえるとかで解決していきます。 マンションの住戸階なら上から下ま で同じプランなら楽ですが、下階でプランが変わると、排水管がエアコンの真上にきてしまうとか、梁の真上になってしまうとかの場合もあります。そのような 場合も平面的に位置を変えて見るとか、配管を振ってみるとか、レベル検討でだいたいは解決出来るのですが、なかなか簡単に行かない場合もあります。やむな く1階だけ少し柱の脇を 膨らませるとか、少し無理をした不格好な部分を作ってしまう事もあります。 避けたいのですが、どうしてもいう事を聞いてくれない...なんとかなだめす かしたいのですが、仕事には時間もあるのでどこかで次に進めなければなりません。こんな時がつらいですね。というか、能力のなさを痛感してしまいます。 3DCGパース描けても、実管はCGじゃないですからね。 このような配管・ダクトが確保され、さらに電気のケーブルスペース、照明の取付位置・スペース、それらのコントロールであるス イッチ類等がきちんと所用の位置に取付けられていなければなりません。 集合住宅などだと大きなダクト等の発生は少ないのでしょうが、オフィスなどになる とダクト類は出て来るし、病院などだと設備の占める工事量はだいぶ膨らんで来ます。 美術館とか、ホテルなど用途が変われば空調方式や設備の種類も変わっ て来るでしょうし、通常あまり出てこないような設備が必要になる場合もあります。 計画の初期段階で、法令的に気になるのは消防設備でしょ うか。ボリュームと用途等があ る程度明確になってきた段階で一度、相談に行きます。といっても、当然行く前に消防メモなどを見ながら自分なりに予習はしておきます。 防火対象物として はオフィスになるのかあるいは雑居ビルのような複合となるのかとか、取り付く消防設備は消火器、屋内消火栓が必要そうだとか..分譲マンションである程度 の規模になると消防用水が要求されるとか...コスト的 にもそれなりに効いてくる訳です。 一度は、事前相談の段階で防火対象物の判断を間違われて、参っ た事ありました。 それも、確認申請の降りる1週間前ですからね。 幸いにもこのときは、厳しい方から緩い方になったので、コスト的にも事なきを得たので すが、逆だったらどうなってたでしょうか。考えるだに恐ろしいです。 自分の中では、建築設備というか、トータルな快適性建築の象徴のひとつと思えるのが、 ノーマン・フォスターの香港上海銀行で す。レンゾ・ピアノやリチャード・ロジャースもそんな方向を目指していたのかなと思いま す。 ただ、ちょっと残念な のはそれぞれの代表作というか、それらの工事費がやたらと高い..高過ぎない?? と思えた事です。 技術的には申し分ないように思えますが、そこがやは りひっかかります。貧乏性なんですかね..。 ※スマートハウス---1980年代にアメリカで提唱された概念。設備機器を情報化配線等で接続しコント ロールすることで、快適性・合理性を維持する。 ※PS---Pipe Spaseの略。主に給水、排水管のパイプが通るスペース。マンションなどではガス管、電気ケーブルなども含めて収納するケースが多い。分譲マンションな どだとかなりシビアに詰められる。 ※EPS---Electric Pipe Spaseの略。電気の配線、配管が通るスペース。通常の集合住宅ではでてこないが、オフィスのように情報配線等の要求が多くなると、通常のPSから切り 離されて発生して来る。 ※スリーブ---構造部材を設備配管等が貫通する孔。そのさや管。当然、その補強方法は図面に明示さ れる。現状ではそのための既製品も出ていて、扱い易くなっている。無ければ、それにこしたことはない。 ※天井フトコロ--天井材と上階床下までの空間。多くはここに空調機、換気扇、照明器具、電気ケーブル 等が配される。 ※防火対象物---消 防法(以下「法」という)の第2条第2項では、「防火対象物とは、山林又は舟車、船きょ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれ らに属するものをいう」と定義されてます。ちんぷんかんぷんですね。消防法令別表第1というのがあるので、それに該当する具体的な建築が記載されてます。 不特定多数集会用途、宿泊施設、百貨店、展示、学校関係、福祉関係,,雑居ビルなども該当します。 |
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