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建築の形態はいろいろな規制によって決まってきます。道路斜線、隣地斜線、北側斜線、高度斜線、採
光、日影
規制 ..。 住宅地などの場合、多くはこれ以外にも10mとか 12mとかの絶対高さもかかってきます。 このうち高度斜線は自治体によって定められています。(例
えば東京都では東京都建築安全条例の中で 第1種高度斜線,第2種高度斜線,第3種高度斜線が
定められています。) このようないろいろな斜線をクリヤーするように計画しなければならないので上の方で斜に柱を曲げたり、梁をひし形断面にしたり、組
み合わせによっては2段階で柱を曲げるなんてのもあります。また、日影
規制にかかれば、高さと東西のかどなど日影図,日影時間
図で検討しなければなりませ
ん。 狭い敷地などだと斜線や高さ制限をクリヤーするともうそれだけで建物の形が自動的に決まってしまうので、設計といえる程の出番がないように思えますが、そ のボリュームをきちんと使える空間にわりふるのは自動的にできる訳ではありません。 床の高さの設定,階の高さの設定などを構造的にも設備的にもあまり無 理が生じないように検討しなければなりません。 柱の位置,梁のかかりかた,床の範囲,屋根面の作り方などを検討する訳です。構造的にはこちらの考え方の ほうが好ましいけど斜線オーバーになってしまうな..という事はいつもあるわけで、いかに効率よい形態にもっていくかと悩む訳です。 建築の形態にこだわって立面ではスマートでかっこいい勾配屋根になっていたけど室内の展開図をみたら居室のすみで120cmの高さでとても人が立てないよ うな図面をみたことがあります。設計をやってると誰でも形には興味がある訳で、かっこよく見せたいところです。でも、果たして使い勝手に支障がでていいも のかどうか。やはり、機能的な部分は最低限おさえておかないとまづいですね。 少し高層の建物になると隣地斜線も 実際に影響してきます。(20mあるいは31mから斜線が 始まる)高層マンションで正面からみて両側が斜面になってるようなのは、その例でしょう。(もちろんそれ以外の場合もあります。) 採光も 影響します。高層のマンションなどでは特に影響が大きくなり、どの窓から居室の採光を確保する かは大きな問題で、高層の場合には1,2階あたりの採光がとれずにやむを得ず 『納戸』とす るなんてのはよくあるようです。個人的にはそもそも、採光自体にあまり大きな意味なんてないんじゃないかと思ってるのですが。特に都心部などでは、採光よ りも換気、通風のほうがよほど大事じゃないかと思います。 手間がかかるのはやはり日影関係でしょうか。現在ではパソコンが普及してソフトも豊富になったので手でおこしてたときに比べれば格段に早く検討できます が、その分細かく何度も検討を重ねます。日影の時の高さの基準は平均地盤面から計ります。 建築基準法の別表には平均 地盤面から1.5m,4mを影の受影面ととらえます。 平均地盤面 は建物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面とあります。日影関係でかかる時には該当する部分の高さを低めにおさえるか、あるいは建物の東 西方向を少し縮めるとかの方法で何度か検討します。ほとんどはそれでクリヤーできます。高層になっても東西方向にスレンダーな建物は以外と簡単にクリヤー できて、中層程度でも東西方向に長いとクリヤーしにくいような事がよく起こります。 もっと、手間がかかってめんどうなのが、天空率です。 道路斜線、隣地斜線、北側車線について天空率計算を行い、クリヤーできれば斜線に沿って柱を斜めにし なくても済みます。日影と似た部分はありますが、手間はさらにかかります。まあ、斜線突破できるのだから、当然と言えば当然。ほとんどの場合は専用ソフ ト、CADのプラグ・イン・ソフトでの対応になります。規模の大小は関係ないので、戸建住宅でももちろん適用できます。普通はある程度高層の建物になると メリットが出て来ると思われます。私も、一度3階RCの建物のお手伝いで天空率までやりましたが、その理由がふるってました。いわく、3階の庇が道路斜線 に少しかかったから..ちょっとくらいひっこめたら、って思いましたけどね〜。形状変えずにそのまま天空率かけたらクリヤーできたので、いいんでしょうけ ど。極めて消極的な使い方でした。 上記に記したような規制が、敷地が2つの用途地域にまたがる時、道路,隣地,北側の道路 や敷地等と高 低差がある場合などにはさらに複雑にからみあってきます。その中で、単純に斜線等をクリヤーするだけでなく効率良く有効な空間をみいださなければなりませ ん。 |
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