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1981年に竣工した象設計集団+Teem
Zooの代表作といっていいのではないでしょうか。私がみたのは1989年の夏の建築士会の沖縄建築ツアーに参加した時でした。10年ぶりの全国公開コン
ペということで、専門誌だけでなく随分あちこちのジャーナリズムに取り上げられたようです。
発表された時からぞくっとするものを感じました。『新建築』の平面図などみても、とにかく柱がやたらと多いのと壁がものすごく少ない、 そしてアサギテラスという半屋外空間がこれまたやたらととりついている。まあ、ある意味本来の市庁舎空間(事務・執務空間)だけならどのくらいにしぼん じゃうんだろうな?と思わせます。 一番上の写真なんかみてると周囲のアサギテラスにツタ類がはっていてまるで森に浮かんでるかのように見えます。
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道路側にはシーサーが睨みを利かせています。沖縄の建築には屋根の上によく載っていますね。
腰壁なども花ブロックで埋め尽くされていて、とにかく風の通りがいいだろうなと思わせます。シーサーの載っている台なんかも進修館、笠
原小学校の柱の足下と同じモチーフですね。守神が整然と並んでくる人たちを守っているイメージですね。
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アサギテラスの詳細写真です。これもRC造でルー
バー状に架け渡していて、その隙間にブロックが挟まれてます。建物の広場側はこれで埋め尽くされています。強烈な沖縄の暑い日射しをさえぎるにはこれくら
い深い軒が必要なのでしょう。この下で蝉の鳴き声が聞こえてくれば、いかにも南国なのですが..。そこまではうまくいきません。
柱などの躯体はグレートとピンクのコンクリートブロックの繰返しパターンですが、沖縄という場所でなければ似合わないのでは、と思いま
す。アサギテラスの発想にしても徹底的に現地調査をした成果だと思います。昔からそこにあったように建っている、という風に見えました。
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スロープの詳細写真です。写真ではなかなか伝えにくいですが、思ったよりダイナミックにかかっています。
コンクリートのこのような扱いはなんとなく吉坂隆正のにおいを感じさせます。 『新建築』には、コンペの経緯、出来上がった時の様子、柱へのこだわりなどいろいろな記事がのってました。でかける前にさんざん読みま
したが、それでも本物はやはり違いますね。ただ、コンクリートに関していえば、やはりもっと早くみにくればよかったと思います。少しよごれてました。
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内部のホールです。壁にポッカリあいてる孔は風の道なるものです。コンペの要項に、大規模な空調方式に頼
らない事、というのがあったそうですが、その回答がこの風の道だそうです。風の吹く方向,風力など調べてコンクリート製のダクトを建物内に設けたのだそう
ですが、このときはあまり吹いて無かったようです。吹出口についてたリボンはほとんど揺れていませんでした。 進修館でも、笠原小学校でもそう思いましたが、象設計集団+Teem Zooはあきらかにモダンでもポストモダンでもない、第3の潮流といった独自の考えで建築をつくりあげている。名護市庁舎はその金字塔といえるのだと思い ます。 |
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『これが建築なのだ』 | 『これが建築なのだ』--大竹康市番外地講座 1995年TOTO 出版 彼等なりのこだわりとか、方法論、名護市庁舎の事など興味深い事が克明に書かれています。読み物としても、いっきに読ませます。
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