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「軍艦マンション」の異名で知られる渡邊洋治の代表作です。1970年の竣工
で、14階建てです。建設当時の写真だと周囲は高層ビルなどなく、随分と目立った事でしょう。この写真も1984年に撮ったものです。いまでは駅からもっ
と見えにくくなってしまいました。 渡邊洋治の設計活動のなかでも最も知られた作品で、海外の雑誌にも頻繁に紹介され、大学の講演などにも招聘されたとあり ます。そのデザインはストレートすぎるくらいですが、これくらい堂々としかも見事に決められると後は重箱のすみをつつくしか無くなってしまいそうで、つつ く程に自分の無力さをみせつけられるようで、おまえもくやしかったらこれくらいやってみろと返ってきそうです。 |
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やはり、海軍出身だからでしょうか外だけでなく内部
も銀ペイントで塗装されていて本当に軍艦の中をどこまでも意識していたのではないで
しょうか。各部屋の向きは柳の葉からヒントを得たそうですが、このモチーフはかなり気に入ったらしく後々のいろんなコンペの図面によく登場してきます。 こ のころは住宅のカプセル化にかなり興味をもっていたらしいのですが、本当に工業化という意味で興味があったのかはどうでしょうか。むしろユニット化による 表現を試みたという風に思えます。(実際、単体の住宅では工業化を意識してるとは、あまり思えないのです。) |
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道路側には写真のようなルーバーがついてます。こち らの面はこのルーバーの印象が強いのですが、やや傾斜した柱が、両足で踏ん張っていてどっしりとした印象です。 | |
いまにも動きだしそうな印象の、軍艦でいえば艦橋に
当たる部分です。わざわざ受水槽をよこに寝かせて挟み込んでます。メンテナンスはちょっと苦しそうなきがするのですが..。 普通ならフラットになるとこですがこのあたりも徹底的に軍艦デザインの面目躍如といったところです。受水槽もまるでミサイルのよう
で..いまにもズドンと発射されそうに見えます。屋外ユニットのクーラー置場をここに取付けてるのがなかなかおもしろいです。城郭の銃眼にもみえます。屋
上にフラット部分があるのかなと思わせます。 |
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中央に見えるシャフトは図面では屋内階段になってます。建築の機能を崩さずにこの形をデザインした力量は
やはりたいしたものだと思います。 私が渡邊洋治に興味をもったのは氏家事務所に入所したての頃、ガウディやアール・ヌーボーに興味をもってるといったら日本にも奇抜な建
築をつくるひとがいるよと教えてくれた先輩がいて、第3スカイビルをみにいったのがきっかけでした。
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『渡邊洋治 建築作品集』 | 1985年 新建築社刊 図面も写真も白黒で構成された作品集です。とにかく、迫力ある図面に圧倒されます。この図面を見ているだけでも何か触発されそうな気持ちになってきます。 図面をみるためだけでも買う価値はあると思います。 |
『建築へのアプローチ』 | 1974年 明現社刊 渡邊洋治がこれから建築の設計を学ぼうとする人に向けて書いた本。中の「私の建築観」でもいってるように言葉はしばしば悍馬のように走り出す...とかい てあるが建築を学ぶ者への姿勢、心構えがいろいろな見方,とらえかたで書いてあります。けっこう一気に読ませます。 |
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