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設計をやる人、設計者(職人風にいえば設計屋さん)ってどんなんでしょ
う。オーケストラの指揮者に例える人もいますね。でも、どちらかというとそれ
はゼネコンの所長さんで、音楽でいえば作曲家、映画でいえば脚本家兼監督といったところでしょうか。英語ではArchitectですが設計するという言い
方でいえばdesignerともいえます。 TVドラマなどのイメージでは、かっこよくてスマートな
職業..のようです。 実際にはそんなにかっこよくありませんし、スマートでもないと思います。(私だけ?) 設計事務所はおもったより散らかってるし、シンプルな作風からはおよそ考えられない程雑然としていたりします。それに今どきの図面はほとんど CAD で作製しますから、製図台のない事務所なんてざら です。時々模型が所狭しとおいてあったり、カタログが机の上に積重ねてあったり、机のあいたところはスケッチのトレーシングペーパーと消しゴムのかすで いっぱいだったりします。もちろん、全部ではありません。中には神経質なくらいにきれいな事務所もあるようです。 木造住宅クラスならばほとんどの場合はひとりの設計者ですみますが(いわゆる意匠屋さん、建築設計者)住宅でも鉄筋コンクリート造になると構造設計者がは いってきます。設備の設計者(電気,機械)もはいってきます。さらに規模が大きくなり用途なども複雑になってくると、数多くの専門家がはいってきます。 ホテルなどだと内装設計、照明設計、造園設計とか設計者だけでも両手くらいすぐです。同じ設計といっても専門分科されている現在では実に多種多様に 渡ります。そのときに専門家集団を横断的に調整する役目を負ってるのが多くの場合、意匠屋さんになります。(橋渡し専門のプロデューサーとかコンサルタン トが入る場合もあります。安藤忠雄氏と浜野商品研究所みたいに)意匠屋さんがリーダーシップを負うのは最も情報の風上の位置にいるからです。 たぶん、現場で『先生』とよばれる風習があるのはそのあたりからでしょう。明治の頃は本当にそう呼ばれる価値は合ったのかも知れませんが、今は単純 に慣例的にそう呼ばれてるだけです。 一般の人たちが設計者の事をさして建築家といったりしますが、欧州や米国などでは 建築家資格 がしっかりと確立していますが、日本の場合、法的には建築士資格は ありますが 建築家資格とい うものはありません。 TVドラマや、建築の紹介番組などでは時々、建築家○○と紹介されたりしてます。 でも、多くの場合、紹介されたいわゆる建築家は、資格的にはほとんど は建築士 です。もちろん、海外での建築家資格を持つ人はいますが、数的には少ないです。 このあたりは制度的な問題で、一般の人は区別してるわけではないよう です。ましてや、構造設計,設備設計...などと区別してるわけでもないよう です。 それでも、欠陥住宅などで騒がれた時には『お近くの一級建築士に御相談なさってください。』とはいいますが『お近くの建築家に御相談なさってくださ い。』というのは今のところ聞いた事がありません。建築家は他人の設計した家の相談には載らない..という事なんでしょうか。 時々、建築のデザインの部分にスポットをあてて建築設計者をアーチストのように紹介している事があります。 建築に芸術性はありますが、社会性も経済性 もありますし、技術的な要素も大分あります。先のような建築家ということでデザインの専門家、いわゆる芸術家とみるようなのですが、それは巨匠の時代の名 残りのような気がします。 現在では建築設計者(意匠屋さん)は、設計者=プロデューサー=建築士=技術者=アーチストといえるので しょうが、ど れかひとつではあり得ないと思います。 ちなみに、私は名詞にはごく普通に一級建築士..といれてます。 ※CAD(キャド)Computer Aided Designの略。コンピューターとモニターで作図するシステム。平面を扱う2次元CAD、立体を扱う3次元CAD、CG の機能を組み合わせたものもある。 最近ではBIM(Billding Infometion Modeling)なるものも台頭してきた。徐々にそちらに以降していくと思われます。 |
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