11 開口部(窓)
 Home  index | back 
2013.11.2    
これも建築の基本的な部位です。よく言われるように、ヨーロッパでは厚 い壁で建築を作り、そこに開口部を穿つという発想ですが、日本の古来の木造などだと骨組みで建築を作るので、外壁などは柱と柱の間を塞ぐ考えとなります。 開口 部は当然多くできますし、数寄屋建築などはある意味屋根と柱と開口部といってもいいくらいでしょう。

学生時代の設計製図課題の時にも思ったのですが、デザイン的にぱっとしない時には開口部を思い切り大きくしてみる.。というのがあります。実際、その時の 課題で最初ぱっとしなかったのが、思い切り大きくとったら少し見栄えがよくなりました。 点数もちょっと上がったのかも..。

機能的な分類では引違い窓、片引き窓、嵌め殺し窓、片開き窓、竪辷り出し窓、竪軸回 転窓、内倒し窓、外倒し窓、突き出し窓、両袖可動片引き窓、ルーバー窓等があります。 他にも大型窓でドレーキップ、ヘーベシーベなどがあります。 トップライト(天窓)も仲間ですね。  一時、反転窓が流行った事がありました。くるりと外部 面を反転出来るので、手入れが楽との観点からだったと思いますが、最近あまり見かけないような気がします。住宅などで見られる主な形状は図のようなもので しょうか。
窓形状

材質は 、ほとんどの場合にはアルミ製ですが、木製サッシもかな り出回ってます。場合によっては、スチール製、ステンレス製な どもあります。  省エネ・断熱の観点から複合サッシもあります。古い学校などではス チールサッシもかなり見られますね。 
防火という観点からは、いわゆる延焼ラインにかかると建 築基準法でいう防火設備、特定防 火設備の性能が要求されます。 ほとんどの場合は国土交通大臣の認定を受けたサッシに網入りガラス等を使用した形でクリヤーします。 天窓 はその場合、屋 根・開口部のいずれとなるのでしょうか? 多くは屋根として見る事が多いようです。 不燃材料以上のものを使用する.等、各自治体で細かく例示してありま す。 

建築基準法では居室には採光・換気・排煙が要求されます。戸建ての場合にはい ずれも確保し易いのですが、マンションで高層になると採光確保で四苦八苦することはしばしばあります。 住居系地域なら隣地境界線等から7m以上の離隔距 離が確保されれば高さにかかわらずOKとなるのですが、これだけの距離をたっぷり確保出来て住戸の奥行きも確保出来て、バルコニーも確保出来て....あ る程度余裕のある敷地でないと難しいですね。 自分としては、都区内などでは採光よりも現実問題としては換気をきちんと確保出来ていれば、もう少し緩和し てもいいのではないかと思えます。 採光の面積は居室の 面積から決まってくるので、内法寸法で算定.。とか言ったらその代わり開口部はガラスの面積で計算してくれ..と言われた事があります。 換気はクリヤー し易いのですが、まれに手こずる時はあります。こちらは、開放できる面積なのでわかり易いです。

排煙は通常は住宅の場合には要求されません が、 用途的にあるいはマンションでも200m2以上とかで要 求される事はあります。 住宅のような場合には出来るだけリビングの引違いなどでクリヤーしたいの ですが、どうしても足りない場合には排煙用のランマとな る場合もあります。マンションの1階に入っているコンビニなどはたいがい排煙ランマ形式でクリヤー しているようです。雑居ビルなどでテナントの入れ代りが激しいといつのまにか排煙ランマが塞がれてしまったり、オペレータに手が届かなくなってしまったり という事があるようです。いざと言う時には煙を逃がす役目ですから避難を考えると重要な部分です。商業施設の場合にはオペレータのスイッチを押すとガスダ ンパーで次々と開放するのが多いです。多くは内倒しか外倒しです。


多くの商業施設、オフィスなどでは最近は開口部というか、ガラスというか多いですね。  ガラスも昔に較べれば1枚で大きく作れるようになったり、耐火性能を持つガラスも出て来たりと、ガラス自体の性能がよくなっている事に加えて、サッシも 性能アップしてきている相乗効果なのでしょうか。 特に商業施設などではガラスの多用された建築をよく見かけます。ガラスのもつ透明感、質感が華やかさや きれいさ、清潔感等に結びついていくのでしょうか。 透明感という事で言えば、商業施設などで最近よくみるDPG工法などはその最たるものだと思います。これには、サッシ枠 が無く支持金物でガラスを直接支持する方法です。枠がない分非常に開放的で透明感は抜群です。支持方法はいくつかあるようです。

1980年代のパリ大改造計画のひとつ、ラ・ヴィレット公園内 に建つ産業科学館が始まりと言われてます。サッシ枠なしで、いかにガラスを支持するのか..このときに構造設計者であるピーター・ライスが提唱したのがガラスの四隅に孔をあけて支持するDPG工法です。以降、主にオフィスビルや商業施設などでさかんに 使用されるようになりました。ただ、この方法はコストはかなりかかるので、最近ではもう少し簡易に出来るように四隅に孔をあけないガラスコーナーで受ける 方法、表側に細巾の金属でガラスを支持する方法等様々な方法が開発されてます。日本で使われだしのは新生銀行(旧・長期信用銀行)のガラスのアトリウムあたりからで しょうか。ただ、こうなるともはや開口部とはいえないですね。



延焼ライン------隣地境界線、道路中心線等から 1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下の建築物の部分

居室---------居住、執務、作業、集会、娯楽 その他これらに類する目的で継続的に使用する室。解りにくいですね。
      一般には納戸や物置などははいりません。マンションのキッチン部分は大きさ等で変わってくるようです。

採光・換気・排煙-------建築基準法でいずれも 居室に要求される開口部の有効面積です。一般に採光は居室の1/7、換気は1/20
            排煙は1/50となります。

DPG工法------日本板硝子のHPで説明されて ます。こちらで。




 index | back