百合ヶ丘団地 9号棟 
1996年竣工
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百合丘立面1

立面図
●建築概要 
神奈川県川崎市
第2種住居専用地域/近隣商業地域/準防火地域
建築主-----住宅都市整備公団関東支社
設計-------泉設計
施工-------戸田建設
用途-------共同住宅(集会所,駐輪場)
延べ面積----5466.02m2
建築面積----847.67m2
構造・規模--WRC構造 地上10階 
最高高さ----34.75m
百合丘立面図2
妻側立面図
百合ヶ丘詳細
バルコニー孔詳細図
百合丘全体写真 泉設計にはいった年の夏から設計にとりかかりました。それまでは、小さ い集合住宅の設計経験はありました が、これだけまとまった本格的なのは始めてでした。86条認定を受けて他にも何棟かが同時に設計にとりかかりました。各棟のデザインをどのように揃える か、どこまでそろえるか、などを何度か打合せてバルコニーにフレームをまわす事、その色彩を少し目立たせる事などが決まってきました。

当初からのコンセプ トは「丘の上の城塞」のイメージだったように憶えてます。銃眼のような孔明のバルコニーはそんなところからでてきました。また、1階などは完全にではあり ませんが、バリヤフリーに対応しています
百合丘全景写真 バルコニーの外側にフレームをまわそうというのは他の棟と同じで設計当初から決まってました。1スパンお きにバルコニーの奥行きをかえることで、外から見た時にメリハリがつくようにしました。

また、住戸数も少し多いことからバルコニーの形状もワンパターンで そろえるよりもいくつかのパターンあったほうがここに住むひとたちにも分かりやすいのではないかと思いここでは、手摺子とパネルによる2パターン,RC手 摺壁のパターンの3パターンを組み合わせました。

RC手摺壁型はさらに3ヶの孔があいていて子供の目線の高さでもなんとなく外の気配がうかがえるように なってます
百合丘見上げ写真 建物の片側はセットバックしていてエレベーターの機械室がよくみえることになります。よくみえるならば少 しシンボリックな形状にして、この建物のポイントにしようと考えました。給気ガラリを出窓形状で突出させて中世ヨーロッパの断崖にたつ城の雰囲気になぞら えてみました。このときのテーマに「丘の上の城塞」というようなことがありましたので少しは近いものになったかなと思える部分です。

構造形式は壁式ラーメン構造という形式で、平面的には扁平な形の柱で構成されます。南面など開口をたっぷりとろうとすると構造壁がほと んどとれないのでそのぶん柱を長方形にして分担させたようなことになるのでしょうか。この柱をスリーブがぬけるのにも驚きました。

百合丘階段写真 北側の階段は踊り場がいつも突出するのでこれをどうみせるかに悩むところです。ここでは、半円形にして柔 らかくみえることをポイントにしました。屋外階段は高層になるほど上げ裏などが良く見えるのでこの部分をきれいに形よくみせるのに腐心しました。


平面的に 踊り場の中で段を設けない事、昇り側と下り側の段を一段ずらして上げ裏が出来るだけきれいな半円形にみえるようにすること。小梁もとれればもっときれいに みえたのでしょうが施工上、構造上のことを考えてあきらめました。北側の面は階段も含めて廊下の手摺壁などにもバルコニー同様の孔をあけてデザインポイン トにしました。
百合丘入口写真 1,2階の外壁は石材調吹付けで、上の階と吹き分けています。エントランスの庇は階段踊り場に合わせて半 円形状ですが正面からみてもう少しはっきりさせたほうがより効果的だったかなと思います。周囲の外構も充分育ってきてるので生活感がしっかりと感じられま す。


百合丘北面写真 この写真などみると、エレベーター機械室がかなりめだってみえるのがよく解ります。避雷針の先端がさら に、強調してるようです。建物の目印にと思った意図はある程度達成できたような気がします。これ以上やるとハリボテ的にみえてくるんだろうと思います。な んとなく、お伽の国のお城のイメージがわいてきませんか(わかないか・・)

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