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1階平面図 |
●建築概要 東京都世田谷区 第1種住居専用地域/準防火地域/第1種高度地区 設計--------氏家隆正設計事務所 施工--------戸田建設 用途--------賃貸住宅 面積--------221.72m2(A,B各棟共) 構造・規模---木造2階 最高軒高-----6.35m ●主要仕上 外部 屋根:カラーベストコロニアル 外壁:センチュリーボードアクリル弾性ローラー塗 内部 |
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木造2階建ての外人向け賃貸住宅です。氏家事務所にはいって始めての担当作品です。
チーフがこの年の春にやめたので、まだ不安は少々あったものの中島にやらせてみるかというような調子で記念すべき担当第1号作品なので
す。形態的には船の舳先のようなリビングのプランが特徴です。外の形には現れませが、パーティなど頻繁におこなわれるので、広いリビングは当初からの設
計条件でした。 このリビングの3間のスパンを確保するのに苦労しました。方法としては結局、鉄骨併用に落ち着きました。資料で実例などをあたってみたので すが2階建てでありしかもリビングの上に浴室などの水廻りもあり重量的にも決して軽量とはいえず、また設計条件をみたすためには1階に安易に耐力壁を設け る訳にもいかないので鉄骨梁の採用となったわけです。舳先の部分もX,Y方向の成分は計算して倍率を少しあげて強度を確保しまし た。 |
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A棟,B棟はごらんのように外壁,幕板などの塗装をかえてます。人でいえば2卵性双生児といったところで
しょうか。形は同じでも全部おなじじゃないよと色だけは替えました。実際、実施段階では設備の配管,リビングの屈折サッシなどは製品的に反転型などない訳
で、両棟は自然と微妙なちがいがある訳です。 2棟の玄関にはさまれた境界上に写真では暗くなってしまいよく見えないのですがコンクリートブロックでできた メータボックスがはと小屋のようにたってます。現在ではいろいろなメーカーから便利な既製品がでてますがこのころはそのような製品は本当に少なく(なかっ た訳ではない)いくつか調べたのですが結果とした製作ものになりました。 |
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左の写真はA棟を角からながめたものです。写真では色がとんで白っぽくてわかりませんが、幕板はかな
り強い原色に近い色で塗ってあります。現場でオーナーさん夫妻と現場所長と氏家所長と皆で立ち会って、塗装屋さんに何度も試験塗りをしてもらって決まりま
した。 この頃は、図面にはこだわっても現場で検討したりこだわったりというのが、あまり訳もわからず、ただひたすら記録だけはしっかりとろうとはしまし た。図面だけのディテールに満足していたのでしょう。現場の大工によく文句をいわれましたが、おかげで現場とはどんなものかじっくりとみられました。 |
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パーティは頻繁に行われる事を想定して計画するというのが条件でしたから当然、広いリビングとなりまし た。屈折サッシの部分だけは鉄骨の円柱を使っています。スパン方向の耐力壁を確保するために写真右端のように一部室内に壁をだしてたすきの筋交を上下2段 でいれて柱の中央部でコーチスクリューでがっちりと留め付けてあります。屈折されたサッシは解放感いっぱいのようで近くにすむ外人が勝手に現場にみにきて (あがりこんで・・)窓をみてよろこんでました。 |
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この、テラスのタイル割付け図をかいて現場にわたすととにかく目地にこだわる事務所だなと思われたようで
す。これだけでは無く玄関床のタイル割付,アプローチ部のタイル割付け,外壁のセンチュリーボードとサッシの割付け,玄関庇の天井の割付け等とにかく目地
にこだわりの多い仕事でした。 2階の子供室の窓の上部に小さい屋根裏の通気孔が窓の中心にあわないのを(骨組みにあたる)簡単にあきらめて回答したら所長 におこられ、現場ではやり直しになってしまい結局、2重の手間になってしまいました。施工のためのへんな妥協はかえって現場を混乱させるのだと思います。 |
左図のような、柱を3本並べて左右からの梁を跨ぐような形の金物を製作して鉄骨梁をのせてスパンを確保し
ました。いろいろな木造の実例をかなり調べましたが、2階に水廻りをのせて1階で3間のスパンを確保するということが、いかに大変なことか思い知りまし
た。 上棟のときには鉄骨屋さんが立ち会って慎重に組み上げてました。組み上がったのをみたときは図面で考えてたのよりごついなという印象でしたが、しばら くして少し大きな地震がきたときもブレースのビンビンという音が聞こえた程度で後は全く何ごともなかったようです。少々慎重すぎたかと思ってましたが荷重 などのことを考えるとちょうど良かったのだと思います。 |
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